公文式でおなじみのくもんには、「うた200、読み聞かせ1万、賢い子」という標語があります。うたを200曲覚えるくらい、絵本を1万冊読み聞かせしてあげるくらいの濃密なことばのやりとりが、その後の学力の土台になることを示しています。
今回は、子供を賢い子に育てるための読み聞かせのコツについて記事にします。
目次
3歳までに絵本を1万冊!?「東大ママ」こと佐藤ママも実践の読書法とは
「東大ママ」でおなじみの「佐藤ママ」をご存知でしょうか?「佐藤ママ」こと佐藤亮子さんは3男1女の子どもたち全員を東大理Ⅲに導いたことで知られるハイパー母ちゃんです。
私が佐藤ママを知ったのは妊娠中のこと。
とネットで情報を模索していたときに知ったのが佐藤ママのことでした。
「子ども全員東大!?しかも理Ⅲとなっ!!???」と目ん玉飛び出た私。佐藤ママの本を読み漁り、次第にその教育法に魅せられていきました。佐藤ママの著作を1冊でも読んでもらうとわかるのですが、本当に愛情深い子育てを実践されていて、東大の件を抜きにしても尊敬できるママさんなんです。
そんな佐藤ママがお子さんの幼少期に実践していたのが、3歳までに絵本を1万冊読みきかせするという教育法でした。
- 3歳までに絵本を1万冊読む
- 同じ本を10回読んだら10冊とカウントしてOK
- 購入した絵本はおよそ1500~2000冊
- 図書館の本もフル活用していた
1万冊も絵本を読むだなんて途方もない数に思えますよね。でも、0歳から始めるとすると1日10冊も読めば3歳になる頃には1万冊達成です。決して不可能な数字ではありません。
それに小さい子の絵本ってページも少なくてすぐに読み終わるものがほとんど。
10冊読むのは意外とあっという間です。同じ本を複数回読んでもOKなので意外とハードルは低いんですよ♪
京大に入った私。読み聞かせがすべての学力の土台に。
読み聞かせのコツなどについては後に触れますが、その前に私自身の学力や読書遍歴についてお話しさせてください。
京都大学の理系学部に入学した私ですが、今振り返ってみると自分の学力の土台は間違いなく、幼少期の読み聞かせにあったと確信しています。
幼少期:読み聞かせでことばのシャワーを浴びる
0歳から幼稚園頃までは母親から毎日欠かさず読み聞かせをしてもらっていました。
読んでもらっていたのは、「桃太郎」や「おむすびころりん」「かちかち山」などの昔話や、「シンデレラ」「白雪姫」「赤ずきん」といった童話が多かったです。メジャーな作品はほとんど家に揃っていました。
他には、「ねずみくんのチョッキ」や角野栄子さんの「くまくんのあくび」「ねこちゃんのしゃっくり」といった作品が大好きでした!
母はときおり絵本のページを適当に飛ばして読むことがあったようです。そんなとき幼い私は必ずと言っていいほど「お話がいつもと違うよ!!」と指摘し、よく母を驚かせていたようです。
母の証言では、この頃の私はまるで吸い取り紙のようにいろんな言葉やものをどんどん吸収していたそう。3歳までの黄金期に読み聞かせによることばのシャワーを浴びまくったことが、その後の学力を決定づけました。
小学校:わりと本好きな少女になったよ
小学校に入ってからは親からの読み聞かせはまったく無くなりました。
そのかわり、文字を読めるようになったことで、好きな本を自分で選んで読むのが楽しい時期でした。親からはよく本を買い与えられていたし、学校図書館もコンスタントに利用していました。読書の虫というほどではないけれど、比較的本好きの部類に入っていたと思います。
「かいけつゾロリ」シリーズ、「いたずらまじょ子」シリーズなど遊び心のある児童書が好きでした。怪談ものにどハマリした時期もありましたね~。
高学年になってからは「ミス・ビアンカ」シリーズに傾倒します。
ちなみにりぼんっ子だったので少女漫画もよく読んでいました。
学力面については、読書を通じて基本的な読解力が自然に身についていたので勉強は大得意。国語はもちろんのこと、算数も常に満点でした!
中高生:落ちこぼれから奇跡の復活
たいして勉強しなくてもテストで100点取るのが当たり前だった小学生時代。
そこから一転、中学に入ったとたんに成績は急降下します。慢心がたたったんでしょうね。
特に数学や理科といった科目は完全についていけず、中1、中2の頃は学年でも最下層の成績をウロウロ。
でも、中2も終わりを迎えたある日、「このままじゃいけない!」と決意した私。
独学で学校の教科書をイチから学び直します。ひたすら教科書を読み込む日々。
半年後、成績は学年200人中14位へと華麗なる復活!!
高校に入ってさらに実力を伸ばし、同級生のなかでたったひとり、京都大学へ進学します。
このように、一度落ちこぼれてしまっても復活を遂げることができたのは、読解力や理解力が身に着いていたからだと思っています。
ちなみに読書について触れると、この頃にハマってたのは当時大ヒットしていたハリポタ!
余談ですが、幼少期にめいっぱい読み聞かせをしてもらっていた私とは正反対に、弟はほとんど絵本を読んでもらっていなかったようです。きょうだい二人の子育てで母もいっぱいいっぱいで、読み聞かせどころではなかったのだと思います。
そんな弟は小学校入学直後から高校卒業までずっと、勉強が苦手でした。読書もまったくしない子でした。
同じ環境で育ったきょうだいなのに、こんなにも学力や読書量に差がついてしまった原因も、幼少期の読み聞かせ量の差によるものとしか思えないんですよね…。
社会人:もしかして私って文章得意なのかも…?
大学や会社に入ると、さまざまな局面で文章を書く機会が増えていきます。
- 大学の卒業論文
- 転職の際の職務経歴書
- 仕事のプレゼン資料作成 など
それに伴い、書いた文章を人に見てもらう機会も増えるのですが、そこで初めて自分の書いた文章を人に褒められるという体験をしました。それも教授や上司、転職エージェントといった様々な人々からです。
そんな評価を何度もいただくうちに、
と自覚するようになりました。
と同時に、世の中にはあまり文章が上手でない人も多いということに気が付きました。
同僚などが書いた文章を見ても、「ことば選びが稚拙」「文章のつながり方がおかしい」「何を伝えたいのかがわからない」など、読んでいて内容がすんなり頭に入ってこない文章を書く人が意外と多いなと思ったんです。
文章をしたためる過程で推敲を重ね、自然で伝わりやすいことばをカチッカチッと当てはめていく。自分にとっては当たり前のこうしたスキルが、実は自分の強みだったんだということに気づいた瞬間です。
幼い頃にしてもらった読み聞かせ。そこから読書が好きになり、ごく自然に言語感覚が身についたこと。本当にかけがえのない財産だと思います。
子どもに読み聞かせを1年間続けてみたよ。その成果は?
上述したとおり、「3歳までに1万冊」という佐藤ママ流の読み聞かせを実践中の私。
読み聞かせの際には、こんなことに気をつけています。
読み聞かせ7つのルール
- 落ち着いた声で淡々と読む。抑揚をつけすぎない
- 勝手にアドリブや解説を入れない
- 読み飛ばさない
- 読んでいる途中で子どもに質問しない
- 子供の気が向かないときに無理やり読まない
- 子どもが気に入った本は何度でも繰り返し読んであげてOK
- 読んだ冊数は記録する!
感情移入しすぎはNG!
読み聞かせをする際に、感情を込めて情感たっぷりに読み上げる方がいますが、それはあまりオススメしません。
その理由は、「読み手」である親の感じ方を押し付けることになるからです。
楽しいシーンはウキウキ弾むような声で、悲しいシーンは今にも泣きそうな声で読みたくなる気持ちもわかるのですが、それはあくまでも「読み手」の感情。
子どもには子ども自身のまっさらな心で絵本の内容を受け止めてほしい。だからなるべく落ち着いた声で淡々と読むのがいいんですね。それこそが、子どもの想像力を伸ばすコツだと思っています。
それに、読み手が感情移入しすぎると、聞いている側はむしろ興ざめして引いてしまうものです。上に紹介している本にも同じようなことが書いてありました。
読み聞かせの仕方がよくわからないという方は、地域の図書館などで実施されている読み聞かせ会に参加してみると参考になりますよ。
勝手に脚色しない
絵本はそれ自体がひとつの完成品です。絵本の世界には作者が作品に込めた思いやメッセージが表現されています。
読み聞かせの際に、読み手が勝手なアドリブや解説をしてしまっては、作者のメッセージがうまく子どもに伝わらなくなってしまいますし、作品に対しても失礼です。
また、読み聞かせの途中で子どもに質問をする方をけっこうよく見かけるのですが、読み聞かせルールとしてはこれもNGだと言われています。せっかく絵本の世界に没頭している子どもを、一気に現実に引き戻してしまうからです。
子供には自由な翼で絵本の世界を飛び回ってほしい。読み聞かせの際にはその邪魔をしてしまうことのないよう留意したいですね。
気が向かないときに無理に読まない
3歳までに1万冊読むため、1日10冊が目安だとお話ししました。
ただ、10冊読むことがノルマ化して「なにがなんでも今日中に10冊読まなければ!!」となるのは考えものです。
- 子どもが他のおもちゃで遊びたそうなのに無理やり絵本を読む。
- 親が疲れてクタクタだけど、ノルマだからとイヤイヤ読む。
こんなの、楽しくないですよね。親子ともに読み聞かせの時間がつらい苦行のような時間になってしまいそうです。
1万冊読むのも大事だけど、もっと大切なのは親子で読み聞かせの時間を楽しむこと!
数字を過度に気にしすぎないようにしましょう。
実際わたし自身も、お出かけして疲れた日や忙しい日には1冊も読めないまま1日が終わってしまうこともよくあります。そんなときは「明日ちょっと多めに読めばいいや!」と気にしないことにしています。
読んだ冊数は記録する
1万冊という数値目標を決めたからには、読んだ絵本の冊数はきちんと記録しましょう。
私の場合、記録のためのツールとしてはevernoteを用いています。
でも、読み聞かせのたびに毎回evernoteを開いて記録するのは面倒ですよね!?
だから普段は冷蔵庫にA4サイズの紙を貼って、そこに「正の字」で読んだ冊数を記録していってます。用紙がある程度正の字で埋まってきたら、その合計をevernoteで記録している累計冊数に足していくイメージです。
読み聞かせを一年続けてきた結果は?
生後0ヶ月からコツコツと読み聞かせをしてきた結果、どうなったでしょうか。
現在1歳2ヶ月になる我が家の娘ですが、当初はそれはもうびっくりするくらい絵本に興味を示しませんでした。
ねんね期の頃はともかく、ハイハイで自由に動き回れるようになると周りに興味の対象が移りまくり。こちらが一生懸命絵本を見せても目もくれない始末。
1歳を迎えても状況は変わらず。「あぁ、この子は絵本好きじゃないんだな…」と思いつつも地道に読み聞かせは続けていました。
ですが、1歳1ヶ月を過ぎた頃から徐々に読み聞かせに耳を傾けるようになったんです!
- おとなしく絵本を見つめながら、読み聞かせに聞き入る
- お気に入りのページの絵を指差す
- テンポよい文章にアハハと笑う
- 絵本に出てきた単語を真似て復唱する
このように色々な反応を見せてくれるようになったので一気に楽しくなりました♪
最近では読んでほしい絵本を自分で選んで、私のところに持ってきては読み聞かせをせがんでくるようなったのでものすごい進歩です!
1歳頃からは少しずつことばも出てきて「ワンワン」「ニャンニャン」「はっぱ」「マンマ」などといった単語を発するようになりました。同じ月齢の子たちと比べて特段早いわけではないですが、毎日の「読み聞かせ貯金」は見えないけれど確実に娘の脳みその中に貯まっていっているはずです!
おわりに
ここまで読んでいただいて、「えっ…うちの子もう3才を過ぎちゃってるんだけどもう遅いの…?」と不安に思われた方もいると思います。
ですが安心してください。お子さんがすでに3才を過ぎている場合であっても、決して遅くはありません。一説では将来の学力を決定づけるのは、10才までの読書量だと言われています。
あなたのお子さんがいくつであったとしても、これから何年かかけて1万冊を目標に、読み聞かせを頑張ってみませんか?きっとそこで得た言語感覚や、パパやママとのひとときは将来お子さんにとってかけがえのない宝物になりますよ。
◆ホームに戻る